昭和の初めに生まれて【事務所可】

この家が建てられたのは昭和のはじめか、それとも大正の終わりなのか。

国道の喧騒から一歩中に入った住宅街の奥まったところにある、まるでそこだけ時間が止まっているかのような、数寄屋造りの由緒正しい日本家屋です。

数寄屋門の木戸を引くと、生垣のアプローチに導かれ、玄関まで続く通路が。この少しばかりの距離感が奥ゆかしさを生むポイントです。

家の中に入ってみると、床、壁、天井、建具や細かな造作など、家中のそこかしこに当時の職人達の拘りが垣間見えます。

そして日本家屋のアイコンといえば。そう、縁側です。撮影日も気温は低かったものの、ポカポカ陽気に恵まれて、いつまでもこの場所から離れたくなくなります。レトロなガラス戸からこもれる光。あとは猫とミカンがあれば完璧です。

２階に上がってみるとより一層明るさを増した室内と高い天井に驚きます。往時には大切なお客様をこの空間でおもてなしされたのだとか。

ちなみにこちらの建物、耐震工事と併せて改修工事は施されているのですが、既存の建材を上手く活かし、古いものの良さを損ねず上手に改修されています。

この時代の建物がまず賃貸に出されること自体がレアなのですが、出てきたとしても建物の状態が悪い事が多い中、住み手に大事にされてきた事が伝わってきますね。

さて、この家の使い道に関してなのですが、普通に住居として使って頂く以外にも、住居兼事務所が個人的にオススメです。設計事務所や、デザイン事務所など、他とは違う自分たちの世界観を表現できるのではないでしょうか。

尚、店舗利用は要相談ですが、飲食は不可とさせて頂きます。

最後に、こちらの物件は今年で生誕約90年になります。あと10年で100歳です。人間ならば相当なご長寿です。

「断熱性能が…」「耐震性が…」等々、そういうことが気になる方は辞めておいた方が良いでしょう。

ただ、時を経た建物にしか出せない味、雰囲気は何物にも代えがたいのです。古民家好きなら言わずもがなです。

日本人の感性に響くこちらの物件、引き続き大切に使って頂ける方に。是非。